小児がんドラッグロスの現実!再発時の生存率1割、薬が使えない理由とは?

2歳という幼い年齢で小児がんと闘いながら、少しずつ元気を取り戻している幸之助君。

そんな幸之助君ですが、再発時の生存率が10%程度とされる中、海外では承認された薬が日本では使えない「ドラッグロス」という問題に直面しました。

今回は、幸之助君の治療の歩みとともに、小児がんにおけるドラッグロスの現実や、日本で薬が使えない理由について詳しく解説します。

目次

幸之助君が2歳で小児がんになった理由とは?

出典:X.com

元気に公園を走り回っていた幸之助君ですが、突然の発熱をきっかけに小児がんが判明しました。

2023年2月、2週間以上続いた原因不明の発熱をきっかけに検査を受けたところ、副腎に約11センチの腫瘍が見つかり、神経芽腫と診断されました。

神経芽腫は、主に小さな子どもに発症する小児がんの一種です。

幸之助君の場合は、腎臓の上にある副腎に大きな腫瘍ができていました。

診断後は抗がん剤などによる治療が始まり、薬の副作用によって食欲が落ち、体重も増えにくい状態になりました。

幸之助君が2歳で小児がんと診断されたことが、家族の長い闘病生活の始まりだったようでした。

神経芽腫の再発時の生存率は10%程度?

出典:Yahooニュース

治療を乗り越えた幸之助君ですが、高リスクの神経芽腫では再発への不安が大きく残ります。

高リスクの神経芽腫は40~50%が再発するとされ、再発した場合の5年生存率は10%程度とされています。

幸之助君は首のリンパ節などへの転移が確認され、再発する可能性が高い高リスクと診断されました。

一度がん細胞が確認されない状態になっても、両親にとって安心できる状況ではありませんでした。

母親の瑠衣さんは、日常を過ごしているだけでも悲しみが押し寄せると話しています。

再発を防ぐためにできる治療を探すことが、幸之助君の家族にとって大きな課題となりました。

神経芽腫の高リスク患者にとって、再発を防ぐ治療は非常に重要な意味を持っていたようでした。

海外では承認されたエフロルニチンが日本で使えなかった理由

出典:YouTube

治療の選択肢を必死に探していた幸之助君の家族ですが、海外で承認された新薬が日本では使えない壁に直面しました。

2023年12月、アメリカで神経芽腫の再発リスクを減らす目的の新薬「エフロルニチン」が承認されましたが、当時は日本で承認申請に向けた開発が行われていませんでした。

エフロルニチンは飲み薬で、幸之助君にも投与できることが分かりました。

しかし、日本では承認されていなかったため、通常の医療として使用することができませんでした。

このように海外で承認された薬が日本では開発や承認申請が進まず、実質的に使えない状態が「ドラッグロス」です。

小児がんでは患者数が少なく、市場規模が小さいことから、製薬会社が開発を進めにくいという問題があります。

エフロルニチンをめぐる幸之助君のケースは、小児がんにおけるドラッグロスの深刻さを示す事例だったといえます。

なぜ日本では小児がんの薬が遅れるのか?

出典:東洋経済オンライン

薬を必要とする子どもがいる一方で、日本で新薬の開発が進みにくい背景には市場規模の問題があります。

小児がんは患者数が少なく、製薬会社にとって採算が取りにくいことがドラッグロスの要因の一つとされています。

欧米では小児用医薬品の開発を促すため、一定の条件で企業に小児向け治験を求める法律が整備されてきました。

一方、日本では2025年の医薬品医療機器等法改正によって、成人向け新薬を申請する企業に小児用の開発計画を作成することが努力義務となりました。

ただし、欧米のような強制力を持つ義務ではありません。

日本で法的義務化を進めた場合、治験参加者の少なさなどから企業が日本市場への参入を避ける可能性も指摘されています。

日本では小児用新薬の開発を促しながら、企業の国内市場離れも防ぐという難しい課題を抱えているようでした。

エフロルニチンの費用は約5500万円だった

出典:Yahooニュース

希望となる薬が見つかった幸之助君の家族ですが、次に大きな壁となったのが治療費でした。

アメリカからエフロルニチンを取り寄せる場合、医療保険が適用されず、輸送費なども含めて約5500万円に及ぶとされました。

保険が適用されなければ、薬代などを含めた費用は全額自己負担となります。

両親は少しでも生存率を高めたいという思いから、寄付などによって治療費を集めることを決意しました。

自治会の人たちとともに募金活動を行い、全国から支援が寄せられました。

その結果、目標金額を達成し、幸之助君はエフロルニチンによる治療を受けられることになりました。

希望する薬が存在していても、費用の問題によって簡単には手に入らない現実がありました。

エフロルニチンの治療で幸之助君に変化

出典:朝日新聞

支援を受けて治療を始めた幸之助君ですが、少しずつ体力や体重に変化が見られました。

幸之助君は2024年10月からエフロルニチンの治療を開始し、副作用として聴力の低下などがある一方、少しずつ体力が回復し体重も増えました。

国内での使用報告がない薬だったため、定期的な検査を受けながら2年間服用する予定とされています。

父親の将さんは、周囲の協力によって薬を飲めることを幸之助君にも伝えていきたいと話しました。

母親の瑠衣さんも、息子にしてあげられる治療があることへのありがたさを語っています。

エフロルニチンによる治療は、幸之助君の家族にとって未来を考えるための希望になっていたようでした。

エフロルニチンが患者申出療養の対象に

出典:X.com

ドラッグロスの問題を抱えていたエフロルニチンですが、日本国内でも新たな動きが始まりました。

2025年12月、エフロルニチンが「患者申出療養」の対象に追加され、条件を満たした患者が国内6施設で投与を受けられる体制が整えられました。

国立がん研究センター中央病院を中心に、アメリカの製薬会社から無償提供された薬を使って安全性や有効性を評価する取り組みが行われています。

また、日本に拠点を持たない製薬会社を国内治験へ呼び込むためのワンストップ窓口も開設されました。

こうした取り組みは、小児がんのドラッグロスを解消するための大きな一歩とされています。

エフロルニチンをめぐる制度整備は、日本で治療を待つ子どもたちに新たな選択肢を届ける動きにつながっているようでした。

幸之助君が描く「少し先の未来」

出典:Yahooニュース

病院での定期検査が続く中でも、幸之助君は少しずつ成長した姿を見せています。

幸之助君は元気に遊ぶ姿を見せ、4歳になったことや5歳になることを記者に自分から伝えるまでになりました。

長く保育園に通えなかったことで、両親は同年代の子どもたちとの成長の差を心配していました。

それでも幸之助君は、自分の年齢を記者に伝えるなど、確かな成長を見せています。

母親の瑠衣さんは、エフロルニチンのおかげで少し先の未来を考えられるようになったと話しています。

最近ではランドセルも購入し、小学校へ通う我が子の姿を思い描けるようになりました。

幸之助君は現在も治療と定期検査を続けながら、少しずつ未来へ歩みを進めているようでした。

まとめ

小児がんのドラッグロスとは、海外で承認された薬が日本では開発や承認申請が進まず、患者が使えない状態を指します。

幸之助君は2歳で神経芽腫と診断され、高リスクの再発時には5年生存率が10%程度とされる厳しい状況に直面しました。

海外で承認されたエフロルニチンも当時は日本で使えず、約5500万円という高額な費用も家族の大きな壁となりました。

その後、寄付によって治療を受けることができ、2025年12月には患者申出療養の対象となりました。

小児がんのドラッグロスをなくし、どこで生まれた子どもでも必要な治療を受けられる環境を整えることが、今後の大きな課題となっています。

この記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

また次回の記事もぜひご覧ください。

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